今日の一句 #765

空き缶の過去は黙って許すべし
杉山昌善


許すべし――
これは誰に向けた言葉なのだろう。
いや、自身に言い聞かせているのかもしれない。


ワケありの缶を手にして、ぐいっと飲み干した。
得体のしれない苦さも、ためらわず一気に。


缶にはもう一滴も残っていない。
空っぽのカランだ。

だから缶よ、もう忘れなさい。
そして、私も、黙って許すことにする。
そう決めていたのに、
心の隅ではまだ小さな葛藤がくすぶっている。

さて、本作は
『Senryu
   The Modern Senryu Poems of Shouzen Sugiyama in English Translation
   ―杉山昌善の現代川柳 英訳―』
からの引用です。


立命館アジア太平洋大学・名誉教授のジョーゼフ・ヒックス氏が
杉山昌善氏の川柳を英訳し、
日本語と英語の両方で味わえる一冊。


一ページに一句ずつというゆったりとした構成で、
日本語と英語のニュアンスやリズムの違いがハーモニーとなり、
作品の魅力が新たに立ち上がります。

 桜散る明日無口になるために
 Cherry blossoms falling; Great! No need for idle chatter tomorrow.

   ポケットにどこ吹く風を入れてある
 The wind is blowing around somewhere in my pocket.

(『Senryu
   The Modern Senryu Poems of Shouzen Sugiyama in English Translation
   ―杉山昌善の現代川柳 英訳―』
 ジョーゼフ・ヒックス 著  杉山昌善 川柳
   アメージング出版 2022)

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