今日の一句 #771

コスモスをほったらかしにして帰る
西田雅子

あらあら、あんなにさわさわ引き留めているのに。
まだ何か言いたげなのに。


それでも主人公はあっさり背を向ける。
ちょっと怒っている? 退屈した?
なぜ帰るのかは語られていない。

「ほったらかし」という言葉によって、
コスモスに寂しみのある親しみをおぼえる。


私はなぜかこの場を立ち去りがたい。
遠ざかる背中を見送りながら、なおコスモスの景にいる。

本作は、西田雅子の句集『そらいろの空』(ふらんす堂 2025)から。

 小鳥くるやることリストぶら下げて
 新しい坂を栞にしておこう
 花野という大きな息の中にいる
 さよならが今満開で満月で

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