今日の一句 #769

月の光で風邪薬飲んでいる
金築雨学

月光なら水より飲みやすそう。
さらに効き目もアップするだろうか。
いや逆に、飲み合わせがよくないような気もする。
ことに満月光の場合は。


が、止めるまもなく、
作者は風邪薬を飲んだあとも、
月光だけを、くいくいおかわりしているみたいな。
その調子なら、安心だ。


雨学さんの句集を久しぶりにひらく。


詩人でもあった雨学さんの川柳は、
出雲の風土に根ざし、
底にまったりとペーソスをたゆたわせながら、
上澄みに透明感が漂う。
そのバランスが、詩だと思い、川柳とも思う。


逝去されて数年が過ぎた今も、
周囲の雨学ファンとの雨学談義は
いつも静かに熱くなる。


 退職をしたから読める井伏鱒二
 試着室男一人を隠せない
 身びいきの長い手紙を読まされる
 弱いところへ占の手が触れる
 桃の咲く丘まで走る一夜二夜


(『川柳作家全集 金築雨学』新葉館出版 2009)

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