月の光で風邪薬飲んでいる
金築雨学
月光なら水より飲みやすそう。
さらに効き目もアップするだろうか。
いや逆に、飲み合わせがよくないような気もする。
ことに満月光の場合は。
が、止めるまもなく、
作者は風邪薬を飲んだあとも、
月光だけを、くいくいおかわりしているみたいな。
その調子なら、安心だ。
雨学さんの句集を久しぶりにひらく。
詩人でもあった雨学さんの川柳は、
出雲の風土に根ざし、
底にまったりとペーソスをたゆたわせながら、
上澄みに透明感が漂う。
そのバランスが、詩だと思い、川柳とも思う。
逝去されて数年が過ぎた今も、
周囲の雨学ファンとの雨学談義は
いつも静かに熱くなる。
退職をしたから読める井伏鱒二
試着室男一人を隠せない
身びいきの長い手紙を読まされる
弱いところへ占の手が触れる
桃の咲く丘まで走る一夜二夜
(『川柳作家全集 金築雨学』新葉館出版 2009)
過去ログはこちらから▶