Vol. 27 白 鳥

 冬の訪れを知らせる白鳥は、10月下旬から12月にかけて、越冬のため日本へ飛来してくる。白鳥の繁殖地と越冬地はわかっていても、繁殖地から越冬地までどのような経路なのかわかってきたのは、つい最近のこと。

 技術の発展により人工衛星の送信機を鳥類に装着して、経路を把握することができるようになったのだ。渡り鳥の飛来経路に関心が集まるようになってきたのは、鳥インフルエンザウィルスが渡り鳥により、もたらされることもあるからである。白鳥の主な経路は、シベリア→オホーツク海→サハリン→日本。

 白鳥には日本の夏は暑すぎるため、4月になると再びシベリアへ飛び立つ。V字形に編隊を組んで飛び続け、2週間ほどかけてシベリアに到着する。白鳥がシベリアへ飛び立つ頃、日本は春を迎える。

  白鳥をたった一人で干している  榊 陽子