偽装する春クレパスは十二色 矢島玖美子
偽装する、とはおだやかならぬけれど、
なにか、とびっきりのたくらみのよう。
今年の寒さはことのほか厳しく
体感的にはまだまだ春遠し。
けれど2月4日、立春ということばの力で
今年もカチッと春スイッチが入った。
ここから、いろいろが色付いてゆく。
クレパスの十二色をフルに使って描く絵は
春光に立体化して、
新しいストーリーになってゆく気配。
メークもファッションもカラフルに、
ぎゅんと背伸びした主人公が浮かぶ。
恋の駆け引きも、きっと綿密に大胆に。
(句集『矢島家』 矢島玖美子/私家版 2001)
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