「あながち」は、平安時代「あながちなり」という形で使われていた。
「あながちなり」は、本来「無理矢理、強引、一方的、自分勝手」を意味する語で、強く硬い響きがあったが、次第に打消し語を伴って「必ずしも」「一概に~ない」というやわらかい意味合いで用いられるようになった。この用法は中世に確立したとされている。
「あながち」の「あな」は「おのれ(己)」「自己」、「かち」は「勝ち」を意味すると考えられ、自己の思いを押し通すニュアンスが潜んでいるのも興味深い。
漢字では「強ち」と書くが、常用漢字ではないので、公文書や新聞記事などでは、ひらがなで「あながち」と表記するのが基本。
あながちを犬も食わない砂漠より 山本絲人
ゆに2026年2月「今月の会員作品」より

