昨日とは違う光の中で研ぐ
梅崎流青
二月になった。
そして明後日は立春。
と思うと、厳寒の光の中にも春の微粒子が感じられる。
とつと、この句が浮かんだ。
もっとも掲句の季節はいつとは限らず、
昨日と今日の間に何があったのかも
読み手にゆだねられている。
さらに最も気になるのが「研ぐ」。
米を研ぐ、なのか。
包丁を研ぐ、か。ナイフか。
いずれかで、立ち上がる映像がまるで異なる。
けれどいずれの手元にも誠実さがにじんでいるよう。
どんな「研ぐ」も、ささやかにして、
しかと明日へつながっていく営みだ。
そしてそう、何か特別な出来事がなくたって
日々「昨日とは違う」新しいに包まれているのだと、
気付かせてくれる「光」の一字。
(『近・現代川柳アンソロジー』
桒原道夫・堺 利彦 編/新葉館出版 2021)
過去ログはこちらから▶