合掌のままで飛んでる水たまり
川守田秋男
水たまり、というと、
〈母はまだひとりでまたぐ水たまり〉
と、森中惠美子さんの代表作がよぎり
「水たまり」は氏の句集のタイトルにもなっている。
一方、今日の一句は、年一回発行の
「川柳カモミール」最新号に掲載された
川守田秋男さんの作品。
一読、私の体もちょっと浮いた。
「飛んでる」の現在形は、
目の前の大きな水たまりを、えいっと、
今まさに飛んでいる瞬間なのかもしれないし、
あるいは、水たまりは幾つもあって、
次々に飛び越え続けているのかも。
「合掌のまま」で。
さて、なんのための合掌なのか。
その肝心なところは読み手に委ねられている。
合掌という一語が湛える喪失感と希望。
が、頭上と水たまりに広がる空は
きっと明るいブルー、ブルー。
以下も会員作品から。
月蝕が始まる 本心を聞こう 潤子
母さんのお墓はいつも話し中 守田啓子
今日も晴カミツキガメと牛乳屋 細川 静
春雷やここは踏みとどまる時ぞ 滋野さち
ニンニクの芽が出て祭.com 笹田かなえ
(「川柳カモミール」第7号 川柳カモミール句会 2023年9月)
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