Vol. 143 蜻蛉

 「蜻蛉」の読み方は「トンボ、セイレイ、かげろう、あきつ」とある。「かげろう」は「トンボ」の古称である。

 「トンボ」を含めた透明な羽でフワフワと飛ぶ虫は、平安時代にすべて「蜻蛉(かげろう)」と呼ばれていて、その名残で「蜻蛉」の漢字になったと考えられている。

 また、神話では神武天皇が国土を一望して「蜻蛉(あきつ)のようだ」と言ったとある。

 トンボの語源については諸説あり、たとえば以下のようなものがある。
・「飛羽」→とびは→トンバウ→トンボ
・「飛ぶ穂」→稲穂が飛んだような外見であることからついた名前「飛ぶ穂(とぶほ)」→トンボ
・「飛ぶ棒」→飛んだ棒のように見えることに由来する「飛ぶ棒(とぶぼう)」→トンボ
江戸時代から「トンボ」と呼ばれるようになった。

 トンボは、日本では古来より縁起の良い昆虫として知られ、戦国時代には、後ろに下がらず前に進む「勝虫」として武士から好かれ、前田利家の兜にもあしらわれていた。けれど、西洋ではトンボは不吉な虫といわれていた。英名はdragonfly(ドラゴンフライ)。

   Googleに沈むフリーウェイの蜻蛉  河野潤々