バタフライで生きてる俺の身になれよ
濱山哲也
あ、バタフライだったんだ。
ごめんなさい、そうはみえていなかったんで。
もちろんクロールでも平泳ぎでも犬掻きでもなく
そしてバタフライ以上に
ザバッ、ガバッと水を掻いて全身うねらせる泳法は
独自であみだされたものと思っていたんで。
なんて、笑いながらツッコませる余裕のある句だ。
一見愚痴めいていながら、
「俺」には矜持がにじみ、可愛げもあって。
いや実際その、非効率的なスタイルで
ン十年も泳ぎ続けている気力体力には素直に敬服する。
とかいうと、
いや、俺はこれでしか泳げないからさ、
と、句がたちまち照れ笑いした。
(「川柳 林檎」590号/弘前川柳社 2024年3月)
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