古代の日本では、色名は「白」「黒」「赤」「青」の4色であった。
「黒」は太陽が沈んだ状態の「暗い」「暮れる」が「くろ」に変化したといわれている。「くろい」の意を表す漢字は黒のほかに「玄」があり、古くはこちらのほうが多く使われていた。
一方、太陽が昇った「明るい」状態、「明るい」「明ける」から「赤」が生まれたといわれている。
「黒」と「赤」は明るさにおいて逆の意味を表し、古く日本では、色の意味から「黒」の反対語は「赤」とされていた。その後、日本では、黒と白とが対比されるようになるが,それは5、6世紀に中国から伝わった陰陽思想、五行思想に影響されたものとみられている。
「青」は、はっきりとはわからない、覆われてわからない「漠(ばく)」、「淡(あわ)い」から生まれ、「白」は「はっきりと見える」という意味の「知る」「しるす」から生まれたといわれている。
一滴の黒に時間を奪われる 真島久美子