二〇二五年の昭和ニョキニョキ
蟹口和枝
桜に続いて、ツツジ、藤など
行楽地の花もさまざまに見頃を迎えるなか、
来週は昭和の日。
近ごろテレビをつけると
ひんぱんに昭和を目にする。
ご存じ、今年は昭和100年。
またNHKの放送100年ということで
さまざまな特集でアーカイブ映像が流れていることもあるし、
大阪・関西万博が始まって、
これまた前回の大阪万博の当時のもようが
折にふれ映し出されている。
そんな映像の数々に
ああ、懐かしい、だったり、
へえ、ほう、と新鮮だったり。
一方で、時代が逆行しているような世情が重なり、
ざわざわと落ち着かない気持ちにもなる。
だから掲句に思わず立ちどまった。
昭和ニョキニョキ。
この「昭和」は、昭和の何を象徴しているんだろう。
本作、かなり幅広い読みが可能だけれど
冒頭が西暦で始められているのや、
ギクシャクとした破調が、
我がざわざわと共鳴する。
そしてまだまだあらぬ方へ伸びていきそうな
このニョキニョキを、さてどうしよう。
(「現代川柳 満天の星」第6号
満天の星社 2025年4月)
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