近代美術館の歴史は、1793年、パリのルーブル美術館の設立にさかのぼるといわれている。
その起源は、博物館に相当する英語「ミュージアム」の語源でもある「ムサイオン」であるが、これは、ギリシャ神話の文芸や学術を司る神「ムーサ」を祀る神殿で、芸術や学問を探求する場として使われていたことに由来する。
美術が芸術として認識されたのは、16世紀にウフィツィ美術館が設立されたルネッサンスの時代と思われる。当時の美術館は宝物庫としての役割が主であるが、このころから、絵画や彫刻が、教会や建物の装飾から独立した美術品として評価されるようになった。絵画は額縁に入り、彫刻は台座の上に設置されるようになる。
日本の美術館は、昔から正倉院や社寺の宝物殿等はあったが、1872年(明治5年)、湯島聖堂で開かれた一時的な展示の博覧会が端緒となり、これが東京国立博物館の前身といわれている。
動脈にぽっかり浮かぶ美術館 小沢 史