試着室保護色はもう選ばない
真島久美子
シャッとカーテンを開けて
試着室から出て来た主人公の顔が晴れやかだ。
本作、保護色という表現がユニーク。
つまり、自分に似合う似合わない以前に
身につければたちまち個性を消し、
どんな周囲にも溶け込んで、
目立たず、傷つけられにくい服は
確かに自身を守ってもきてくれたけれど
「もう選ばない」。
これからは、自分の好きな色で生きていくって、
シンプルに清々しいなあ。
出典は、ゆに会員の真島久美子さんが
今年の春に発行した第一句集『恋文』。
帆を上げるように付け睫毛が動く
エコノミー席で探しているラピュタ
追伸の先には抜けるような青
ページのところどころからも
抜けるような青がのぞいて。
(『恋文』真島久美子 私家版 2024年)
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