ひんやりと無口鋏という仕事
七尾美千子
とても優秀な鋏である。
手入れが行き届いていて切れ味鋭く、
黙々と仕事をまっとうする。
すなわち、切る。
そこに私情をはさむことは
許されていないし、その必要もない、
はずなのに、
「ひんやりと無口」には
言葉にはならない屈託がひんやりとにじみ、
ふと刃先を私に向けて
何かを語りかけてくる。
さて本作は、今からちょうど20年前に開催された
「時実新子の川柳大学」第12回全国大会の入選句です。
題は「鋏」で、選者は杉山昌善氏。
もう少しご紹介すると
最初にチョキそして人生ずれたまま 丸山 進
ずたずたのシャツと鋏が置いてある 鎗田郁夫
髪切った鋏次の人に渡す 佐渡真紀子
手の平で女の脚になるハサミ 竹井紫乙
毎年、月刊「川柳大学」の8月号は
全国大会全記録が掲載される特別号で、
厳選の秀句が満載。
今も、折にふれ開いては味わっています。
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