今日の一句 #743

春の貨車ゴトンと運は上向きに
海地大破


もう、伝説の大会といっていいだろう。
「おかやまの風・6」。
1988年(昭和63)10月30日、
岡山で開催された川柳大会である。
その大会報を、思いがけず手にすることができた。


岡山の作家6名の句集発刊を記念して開かれた大会で、
その6冊は次のとおり。


 『岨道』     長町一吠
 『赤い錠剤』   西条真紀
 『未明の音』   前原勝郎
 『或る終章』   徳永 操
 『賑やかな箱』  石部 明

 『てのひらの刻』 前田一石

開会挨拶は寺尾俊平。
祝辞に北川絢一朗、定金冬二、田中好啓。
披講に先立ち片柳哲郎が「お話」をし、
閉会挨拶は岡田千茶。
選者も参加者も、全国から錚々たる顔ぶれが集い、
まさに青森と並ぶ「川柳王国」岡山の面目躍如といった大会である。


さて、掲句は兼題「運」、選者 金築雨学の入選句。


 春の貨車ゴトンと運は上向きに


「貨車」や「ゴトン」が郷愁を誘う。
新幹線みたいなスピードも派手さもないけれど
ちゃんと明るい方へ向かって走っている。
のどかな風景の中を、運を信じて希望がゆく。


他にも、こんな句が並んでいる。


 運命線を不意に横切ってゆくかもめ 石部 明
 天秤の揺れが落ちつくまでの運   小林みどり
 枕を干して失くした運を取り戻す  樋口由紀子
 命運つきてホロホロ鳥の卵抱く   本間美千子
 運でしょうか男に傘が増えてくる  伊藤 律


約40年前の大会報のどのページからも、
今なお、ライブなエネルギーがほとばしる。


(句集発刊記念の会 会報「おかやまの風・6」
 発行人 寺尾俊平 1988年)
 
 

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