春の貨車ゴトンと運は上向きに
海地大破
もう、伝説の大会といっていいだろう。
「おかやまの風・6」。
1988年(昭和63)10月30日、
岡山で開催された川柳大会である。
その大会報を、思いがけず手にすることができた。
岡山の作家6名の句集発刊を記念して開かれた大会で、
その6冊は次のとおり。
『岨道』 長町一吠
『赤い錠剤』 西条真紀
『未明の音』 前原勝郎
『或る終章』 徳永 操
『賑やかな箱』 石部 明
『てのひらの刻』 前田一石
開会挨拶は寺尾俊平。
祝辞に北川絢一朗、定金冬二、田中好啓。
披講に先立ち片柳哲郎が「お話」をし、
閉会挨拶は岡田千茶。
選者も参加者も、全国から錚々たる顔ぶれが集い、
まさに青森と並ぶ「川柳王国」岡山の面目躍如といった大会である。
さて、掲句は兼題「運」、選者 金築雨学の入選句。
春の貨車ゴトンと運は上向きに
「貨車」や「ゴトン」が郷愁を誘う。
新幹線みたいなスピードも派手さもないけれど
ちゃんと明るい方へ向かって走っている。
のどかな風景の中を、運を信じて希望がゆく。
他にも、こんな句が並んでいる。
運命線を不意に横切ってゆくかもめ 石部 明
天秤の揺れが落ちつくまでの運 小林みどり
枕を干して失くした運を取り戻す 樋口由紀子
命運つきてホロホロ鳥の卵抱く 本間美千子
運でしょうか男に傘が増えてくる 伊藤 律
約40年前の大会報のどのページからも、
今なお、ライブなエネルギーがほとばしる。
(句集発刊記念の会 会報「おかやまの風・6」
発行人 寺尾俊平 1988年)
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