実家に帰り、いつも気になるのがピアノ。リビングの隅にオブジェのようにひっそり置かれている。最後に弾いたのはいつだろうと、思い出せないくらい前のこと。
ピアノの鍵盤は現在88鍵だが、最初から88鍵あったわけではない。もともと1709年に、イタリアで「小さな音も大きな音も出せるチェンバロ」として発明されたときは、54鍵しかなかった。
音楽の発展とともに、18世紀後半には61鍵、1800年頃に68鍵→73鍵→78鍵と増えていき、1890年頃に白鍵が52、黒鍵が36で88鍵となっていく。
けれど、それ以降鍵盤数は増えていない。現在のピアノは7オクターブ1／4（27.5ヘルツ～4,186ヘルツ）で、人間が音程として聴き分けることができる範囲は約20～4,000ヘルツまでで、すでに現在のピアノで十分カバーしきれている。
仮にこれ以上鍵盤数を増やして音域を拡大しても、唸りやノイズにしか聴こえなくなってしまうそうだ。
子供の頃、手が小さくて、1オクターブが届かず、ピアノの先生が弾き方をいろいろ工夫してくれたっけ。
鍵盤をむき出しにして眠りこむ 佐藤みさ子
