駱駝の背 私は高所恐怖症 黒川佳津子
そっか。駱駝の背は想像よりずんと高いんだ。
ちゃんと心しておこう。
海外へも自由に旅することのできる世が
いつ戻ってくるかわからないけれど、
「いつかエジプト」は、我が積年の夢だ。
いやいやそれはさておき、
主人公はことにも高所恐怖症。
ぐわんと駱駝が立ち上がった瞬間に「しまった!」、
そして「どうして私はいつもこうなんだっ!」、
って自分のノリを呪っても時すでに遅し。
その慌てぶりに周囲はどっと大笑い。
つられて私も大笑い。
でも人生はノっちゃったもん勝ちという気もする。
駱駝の背は、きっと思いもかけない景を見せてくれるはず。
はてさてコメディエンヌの行く手には、
まだまだどんなおもしろあり、ロマンあり。
(『約束の旅』 黒川佳津子 川柳句集/左右社 2015)
過去ログはこちらから▶