交番でモーゼの長き旅終わる
青砥和子
街の交番とモーゼ。
映画「十戒」のあの、海を割る壮大なシーンを思い浮かべつつ
この大胆な取り合わせがストンと胸におちる。
交番というのが、どこか長閑で、
モーゼ氏のしょんぼり顔も憎めない。
ごく身近にも起こりそうなちょっとした1シーンが
ユニークに、ユーモラスに作品化されている。
本作は今春発行された
「おもしろ川柳200回記念合同句集」より引く。
この句集は、丸山進さんが講師が務める
愛知県瀬戸市の川柳講座「おもしろ川柳」の200回を記念して編まれ、
丸山進さんを含め、17名のメンバーの
各20句とエッセイを収載。
さても2005年にスタートして17年、
今年の4月に200回を迎えられたとは、
まことにおめでたい。
青砥和子さんの巻頭のご挨拶には
「(講師の)「ユニークさと伝達性のバランス」
という助言にメンバーは、独自の川柳眼で楽しく、
自身の思いを社会を、
そして自然を詠んでいます。」
そんな楽しい、和気あいあいの会の雰囲気が
楽しく伝わってくるアンソロジー。
パリにある侍というラーメン屋 佐藤勝己
風鈴をちょっと鳴らしてから仕舞う 中川喜代子
踏ん切りがつかぬ電柱たちの街 真理猫子
「ぼくの負け」優しい顔に変わってる 竹内美千代
皇室の本音が聴けるイヤホーン 丸山 進
(「おもしろ川柳200回記念合同句集」
おもしろ川柳会 2022年)
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