コーヒーも祈りもインスタントです
赤石ゆう
どちらも毎日インスタントで簡単にすませる派。
忙しいし、それほどこだわりもないから。
というよりむしろ、
インスタントのライトなテイストが好きなのかも。
特別な深みや濃い思い入れは
どうもタイプじゃないらしい。
だけど、コーヒータイムも祈りタイムも
毎日それなりに丁寧に、
大事に味わわれているようなのが
面白くて、そこはかとなくほのぼのする。
ともあれこの取り合わせが絶妙。
一句から主人公流の恬淡として
味わいのあるライフスタイルも伺える。
本作の出典は、先般、東北川柳連盟から発行された
赤石ゆうさんの句集『チドメグサ』。
著者は秋田県在住で、
今年「第11回 東北川柳文学大賞」を受賞。
句集は大賞受賞者への副賞として編まれ、
受賞作「残像」十句を含む
約三百句が収録されています。
「残像」
生産性ないが生きてていいですか
メルカリで捜すふらつかぬ精神
にぎやかで眩しい人が来る 逃げろ
ふりかざすものがないのでピースサイン
くつ下も自信もすぐに裏返る
褒められてこっそり咲いたことがある
よりそってくれる壁にも擦過痕
ふたりして笑う泣きながら笑う
ひかり射すすっからかんの箱の中
あざやかな残像 閉じてゆくまぶた
(句集『チドメグサ』赤石ゆう/東北川柳連盟 2022年)
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