今日の一句 #620

古書店の棚を棲み家にまだら猫
くんじろう


11月4日、番傘川柳本社創立115年記念全国川柳大会が
大阪で晴れやかに開催された。
五年に一度の記念大会に参加するのは
100年大会以来三度め。
このたびの参加者には同日刊行の
『類題別 番傘一万句集 第四集』が呈された。

本書は「平成13年から令和3年まで番傘誌に掲載された全作品」から
選句され類題別に整理された、
まさにザ・番傘という大著。


掲句も、この一万句集に収録されている作品で、
類題は「猫」。

古書店の棚の背表紙から猫へ目を移す流れが
句を読む流れとシンクロして、
主人公と読み手が同時にニマッとするような感覚が面白い。

猫の中でも「まだら猫」というのにまた妙味あり、
すっかり主(ぬし)気取りのこの猫に会いに、
そして古書の良き出物などないかと、
この店をふらっとのぞいてみたい気になる。


同じく「猫」の項にはこんな作品も。


 ひまそうな膝だと猫も知っている  片岡加代
 こたつ猫星の触れあう音を聞く   北村克郎
 雨は気まぐれ猫カフェは花ざかり  長谷川博子
 秋ですねなんて猫語で誘う酒    美馬りゅうこ 
 いつまでも猫の形見の障子穴    腰山高子


(『類題別 番傘一万句集 第四集』番傘川柳本社  2023年) 

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