相槌を打って現行犯になる
井上和子
ネットでは、不用意な相槌が日々いたるところで
「炎上」している。
リアルな日常では「現行犯」か。
ほんの何気ない相槌すらも見とがめ、
この瞬間を待ってましたとばかりに、
ガチャリと手錠をかける。
そんな恐ろしい事態もまったく他人事ではない。
コロナ禍で、一時「マスク警察」が話題となった。
外でマスクをせずに出歩いている人に
注意したり、着用を勧める活動をする人たち。
けれど、その「正義感」の行き過ぎが
さまざまなトラブルも起こしたのだった。
監視社会。
不寛容社会。
これから世の中はますます息苦しくなっていくのだろうか、
なんて吐息つく自分も、しかし
つい誰かにうっかり手錠をかけたりしそうで
・・それもコワい。
さりげなく端的に「あっ」をもたらす掲句は、
季刊「現代川柳 かもめ舎」の
誌上句会(題「打つ」)の入選句。
(季刊「現代川柳 かもめ舎」第60号
かもめ舎 2024年1月)
過去ログはこちらから▶