そんなこと言うたらハトも二本足
早川柚香
なになに?
おそらくこの前後にもやりとりはあって
それがリアルな会話なのか
LINEの吹き出しなのか。
そもそも何がテーマなのかもわからないのだけれど、
「そんなこと言うたら」の方言ニュアンスや
唐突なハトがユーモラス。
さらに「ハトも」の「も」が気になって
この、のどかな論戦に参戦させてもらいたくなる。
出典は「川柳ねじまき」第10号。
年1回発行の本誌、毎号表紙もキャッチーで
最新号ではキュートなペンギンたちが
その先に広がる世界へと誘う。
天丼の蓋とる交響曲五番 なかはられいこ
バナナ剥く父は説得しにかかる 中川喜代子
ハイテク株中心に痒み広がる 犬山高木
コーヒーを飲んで眠気におそわれる 安藤なみ
根菜の顔で云うから信じます 米山明日歌
ゆっくりと歩いてつかむひつじ雲 三好光明
ひとつしかない出口にもいない猫 青砥和子
その汗は無駄にさせない肩叩く 竹尾佳代子
迷子になると天花粉ふってくる 妹尾 凛
窓際でモノクロになる雨の音 岡谷 樹
「大丈夫」裸電球ぽーと点く 黒川利一
蛍火の数えきれないほどの城 猫田千恵子
花になるまでをひらいている水母 八上桐子
月うるむふくらむゆるむ宵をゆく 瀧村小奈生
(「川柳ねじまき」第10号 ねじまき句会 2024年1月)
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