今日の一句 #658

帰省の子かじった脛は粉吹き芋
相馬のどか

ハハハと笑って、ほのぼの、じーん。
子にかじられまくった脛は歳月を経て、
すっかり粉吹き芋になってしまったよ、
なんて軽口めかしつつ、
句から嬉しいがあふれている。

子は子で、へらず口のひとつもたたきながら
まずまず達者な親の様子に安堵して
懐かしい手料理をたらふく食べて
すっかり「子ども」に戻っているみたい。


あ、でも、帰省した子に
久しぶりに脛をかじられたってケースもあるかな。
であったとしても、
「粉吹き芋」のユーモアがいい味出してます。


本作は今年6月に発行されたアンソロジー、
『青森縣川柳年鑑 ねぶた 2024年(第5集)』より引く。
発行は青森県川柳連盟で
発行人は髙瀨霜石氏。
編集委員は濱山哲也氏、熊谷冬鼓氏、守田啓子氏。
なお、同連盟の新理事長には野沢省悟氏が就任。


本書には参加者180名の10句が収録され、
最新版もまこと読み応えたっぷりずっしり。
それぞれの個性を楽しみつつ、
「ああ、川柳だなあ」とほっと息をつかせてもらうこの感覚も、
ちょっと帰省に重なるような、と、ふと。


 星空の星を結んでみる仕事    伊藤良彦
 ヌルヌルの石鹸だから言えたこと 菊池 京
 黒アゲハ雨かんむりを置いてった 熊谷冬鼓
 脚本・主演 青空を友として   髙瀨霜石
 考える葦とつじつまあわぬまま  野沢省悟
 ミス一つ私にしたら完璧だ    濱山哲也
 おばさんと言われ苺は驚いた   藤田めぐみ
 かはたれの何かでっかい忘れ物  守田啓子


(『青森縣川柳年鑑 ねぶた 2024年(第5集)』
  青森県川柳連盟)

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