Vol. 178 しみじみ 

「しみじみ」は、「染みる染みる」と染みこんでいく様を重ねた語で、「染み染み」となり、「沁み沁み」とも字を当てる。

「しみじみ」は、心に深くしみるさま、心の底から深く感じるさま、心を開いて対象と向き合うさま、という意味だが、英訳では適当なことばがなく、heartilyでも、deeply でもなく、そのまま「shimijimi」が一番しっくりいくかも。

「しみじみ」の古語は「あはれ」。「あはれ」は本来は感動詞で、心の底から出る「あ~」のような語。強い感情すべて(喜怒哀楽)を表した。そこから転じて、心の底からのしみじみとした感動や感情(親愛、情趣、感激、哀憐、悲哀、風情、寂しさなど)を表わす名詞、形容動詞となる。

 しみじみを池上線に置き忘れ  山本早苗