犯人はみかんだったとわかる朝
坂東乃理子
大騒ぎしたわりに、
なんのことはない、犯人はみかんだった。
ということでいささか拍子抜けながら
一件落着、みな笑顔。
あやうく濡れ衣を着せられそうになったけれど、
まあ、みかんならなあ。
って、いったいどんな事件だったかは
よくわからないものの、なんとも微笑ましい。
「みかん」は、たとえば
他愛もない何かのたとえかもしれないけれど
みかんそのままととらえた方が、楽しいし絵になる。
さて出典の『人魚の絵』は
折にふれ手に取りたくなる句集。
ちくっとしたトゲや毒がユーモラスにはたらき、
絵本のページをめくるように
一句一句を味わえば、
やさしくいとおしい世界へいざなわれる。
アゲハの子新幹線のかたちして
小鳥を放し自由になったのは私
願いごと呪いと少し重なりぬ
胴長をほめてもらったことがある
(句集『人魚の絵』坂東乃理子 私家版 2018)
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