膝抱いているとおもちゃが寄ってくる 松岡瑞枝
部屋の隅で、しゅんと膝を抱いていると
どうしたの? だいじょうぶ?
って、おもちゃが寄ってくる。
おもちゃを手にしているのは、
まだ幼いわが子かな。
あるいは、句に描かれているのは
遠い記憶の情景かも。
とすると、おもちゃの主はきょうだいに変わり、
続いてこんな絵も浮かんだ。
もうトイストーリーみたいに
おもちゃそのものが、とことこ寄ってくるのだ。
キミはひとりじゃないさって。
と、どんな風に読んでも
気持ちがふっとやわらかくなる。
句の芯の部分がとってもピュア。
(句集『光の缶詰』 松岡瑞枝/編集工房 円)
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