生まれつき苺でできている私
前田邦子
言い切っている!
生まれつき、ほかならぬ、苺だと。
この臆することなき言い切りもキュートだなあ。
いや実際、
もう胎内にいるときから
母経由で、ことあるごとに
苺を食していたのかも。
それにしたって
こんなトップシークレットを
いったい誰に打ち明けているんだろう。
「実は私、あのね」
なんてくふっと笑いながら
大粒の苺をまたひとつつまんで頬張って、
ますます苺めいている。
あ、それってもはや共食い?
(前田邦子句集『ポポポ』 編集工房 円 2017)
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