今日の一句 #563

禁じ手を使いたくなる四コマ目
浪越靖政


四コマ漫画の四コマ目。
ここが肝心かなめながら、

連載もロングランとなれば
たいがいのアイデアは出尽くして。
されど締切は目前。


となると、つい禁じ手の誘惑に負けそうにもなる。
たとえば下ネタや駄洒落、はたまた自己模倣とか。
いや主人公が自身に課したルールはさらに厳しそう。
けれど何度も一線を越えそうになりながら、
その手前で引き返しては、

新しいおもしろを絞り続ける。
そんなストイックな創作姿勢が、

まるで漫画のように、
飄飄としたタッチで描かれているのが魅力。
下五の「四コマ目」も、
まさに四コマ目のごとくキマっている。


さて、本作は昨年末に発行された

『近・現代川柳アンソロジー』にも
収録されている一句です。
本書は、近・現代の川柳作家300名の代表作25句ずつを収録し、
一冊でまさに近・現代の川柳史を一望できるお薦めの書。
秋の夜長、ゆったりページをめくりながら
豊かで底知れぬ川柳の世界に

浸ってみるのはいかがでしょう。


(『近・現代川柳アンソロジー』
桒原道夫・堺 利彦 編/新葉館出版 2021) 
 

過去ログはこちらから▶