今日の一句 #570

友達が少ないなりの呼吸法
小原由佳


コミュニケーション能力に長けて、
いつも周囲を笑顔にするタイプ、
とは違うから、友達も少ない。
でも友達は数じゃないし、

って気づいたのはいつだろう。
以来、いろいろ足掻きながら
ふっと会得した自分なりの呼吸法で、
これからも、この息苦しい世も、
なんとかまあ、機嫌よく生きてく。

そんなマイ心意気が清々しい。
「呼吸法」というちょっと大層な物言いもユーモアを醸しだし、
この句を読むだけで、ちょっと息がラクになるよう。

本作は、ゆに会員 小原由佳さんの新刊『反対側の窓』から引きました。
句歴二十余年、ファン待望の第一川柳句集です。

 泣き虫になった 地球の影響で
 千羽鶴今日で解散してもらう
 たましいの入れ替え夜のマニキュア
 働いたお金と走る自転車で
 ただ一つあの日が晴れであったこと

くすっと笑えて、沁みいって。
慌ただしい日々に、つい忘れがちな大切な何かを
思い出させてくれる句集です。

装幀家 濱崎実幸さんによる装幀も美しく、
お手元でぜひ。

(句集『反対側の窓』小原由佳/青磁社 2022)

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