思い出はもう始まっている夏の海
西田雅子
波のきらめき、潮風のかおり。
まるで絵に描いたような素敵なシーンにときめきながら
もう一人の自分は、すでに「思い出」と認識している。
こころの録画ボタンを押しながら、
同時に再生しているように。
今という時間は、現在進行形の過去。
だから一瞬一瞬をちゃんと楽しもうとする、
そんなほろ苦さも湛えて
掲句の海はいっそう眩しい。
出典は、ゆに副代表も務める西田雅子の句集『ペルソナの塔』。
本書は、川柳と写真をコラボレーションさせた
あざみエージェントのミニ文庫シリーズの第2弾として
2014年に発行。
長らく品切れになっていた句集が
このほど待望の重版となりました。
罫線が空までつづくノート買う
口中で砕く破船とクッキーと
洗いたての虹を渡ってゆく素足
句はもとより、ページの余白にも詩情あふれる美しい句集。
ぜひ、あなたの手のひらにもどうぞ。
くわしくはこちらからも。
(句集『ペルソナの塔』西田雅子
あざみエージェント 2014年)
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