神棚に一年分のわたぼこり
新家完司
一読、理屈抜きにくすっと笑ってのち、ほっと吐息をつく。
そしてちょっと遠い目になる。
一年分のわたぼこりは、
ついほったらかしにしていた無精と同時に
この家がこの一年、
とにもかくにも平穏無事であったことを物語る。
と思えば、わたぼこりのうっすらも
何やらありがたいもののように感じられ、
大切に丁寧に拭い浄められられたことだろう。
句の余白にも、さまざまなものが
こざっぱりしていく様子が浮かんで清々しい。
出典は、この師走に刊行された新家完司川柳集で
タイトルもずばり『令和五年』。
本書は『平成元年』に始まり、
『平成五年』『平成十年』と
五年ごとに出される氏の句集シリーズの八作目となる。
新家氏ならではのユーモアや含羞を帯びた人生讃歌に、
たっぷり笑ううち、
心身がほこほことあたたまってくる。
にんげんの森は毎日金が要る
短命な家系の隅で八十歳
本棚の鳩笛たまにポーと鳴く
アルバムを懐かしむほど暇じゃない
ちっぽけな山の形になり眠る
(新家完司川柳集『令和五年』 新葉館出版 2023年)
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