手すりという言葉は、手を摺らせて使うから手摺り(てすり)と呼ばれるようになった。他にも語源としてまっすぐな棒、導くという意味がある。
金閣寺の天守閣には手すりがあるので、室町時代にはすでに手すりという概念があったようだが、手すりの高さがとても低い。
それは、現在のように、屋上やベランダなどの高いところから落下しないようにという目的ではなく、また、身体を支えるための補助機能として手すりをつけていたのでもない。手を添えるために手すりがあったようである。
手すりの位置が低いのは、座敷から外を見たときに、景観の邪魔にならないようにするため、低い位置に手すりがあったと考えられる。
ちなみに、手すりと欄干のちがいは、手すりは、階段などにある「歩行補助の棒」で、欄干は、橋などに設置される「転落防止の棒のこと」。欄干は、手すりの一種だが、日本の橋の欄干などには擬宝珠など装飾性があるものも多く見受けられる。欄干はもたれるもので、手すりはつかまるもの。
これ以上しがみつくなと言う手すり 吉田利秋