今日の一句 #662

自画像は月光荘のアトリエで
斉尾くにこ


一句が一幅の絵のようであり、
その中に、また絵がある。


「月光荘」は、ただこの三文字から
読み手が自由にイメージを立ちあげてもいいし、
かの銀座の「月光荘画材店」がよぎる人もいるだろう。
ちなみにこの老舗画材店。
公式サイトによれば、創業は1917年。
歌人の与謝野鉄幹・晶子夫妻が創業者・橋本兵藏を可愛がり
“大空の月の中より君来しや
ひるも光りぬ夜も光りぬ”
そう詠んで名付けたのが、店名「月光荘」の由来だそう。


などと、句にたたずむほどに
イメージが何層にもミステリアスに重なってゆく。

自画像がどう仕上げられるのか、
このまましばらく見つめていたい。

本作は、9月1日に「ゆに」で公開したばかりの
今月の会員作品」から。
オール新作、多彩な個性を
今月もゆっくりとお楽しみください。


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