天秤座左右の敵に会釈する
弘津秋の子
左右の敵。
つまり敵にはさまれているという
なかなかに窮屈な状況ながら、
両方へにこやかに定例の会釈をして、
さて腹のうちは。
たとえば、いずれに与した方が得かと、
まさに天秤にかけているようでもあるし、
どちらにも絡まれないように
絶妙にバランスをとっているようでもある。
でもって、そう、
私には、主人公はなんとなく後者のイメージ。
想像に浮かぶ天秤座生まれさんの物腰は
おっとりとして、ちゃんとマイペースが守られている感じ。
さても新しい秋にまたひとつ齢を重ねて、
バランスの術も、きっとますますの円熟味。
(句集『アリア』 弘津秋の子/あざみエージェント 2008)
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