漢字の「散」という字は、古代中国においては、もともと火花が四方に飛び散る様子をかたどった象形に由来するといわれている。燃えさかる火の中から、ぱちぱちと弾けて離れていく小さな光。その光景が、「散る」という意味の原点にあると思われる。
時代が下るにつれ、そのイメージはより具体的な生活の動作へ結びついていく。古い字体には竹の葉がばらばらになる様子や、さらに麻の実や皮を削ぎ取る行為と手の動きを示す「攴」とが組み合わされ、「ひとまとまりのものを切り分け、ほどいていく」意味が形づくられていった。
「散る」という言葉は、のちに花や時間、人の心にまで使われるようになる。
さくら百句つくらぬうちに桜散る 三條東洋樹


