そら耳のつづきを散っていくガラス 湊圭伍
一読、ガラス片きらきらと
青空を飛び散る映像が
脳内スクリーンに広がる。
「そら耳」という字面が勝手に
私の中で空を立ち上げた。
そら耳もガラス音も、
空もガラス片も
すべては幻で虚でありつつ、
パラレルワールドの景のようにも思える。
そこはここより、
1トーン明るく澄みわたり、
ふっとワープしてみるだけで
きらきらひりひりと、浄化される気がする。
掲句、著者の第1句集『そら耳のつづきを』より引く。
本書は今年5月に発行、
めくるめく「現代川柳」480句を収載。
背中からふつと開いて居なくなる
こんなもの建てますとある遍路みち
何となく明るいほうへハンドルを
(句集『そら耳のつづきを』 湊圭伍/書肆侃侃房)
過去ログはこちらから▶