Vol. 26 柿

 近所の桜並木が紅葉し、柿の実が赤く生るとすっかり秋の景色になる。

 以前は、村や町毎に柿の木があって、明治時代には全国に927種もあったそうだ。柿は果物の中では、比較的地味な存在かもしれないが、今では、全国的なブランド柿として店頭に並ぶものもある。

 「柿」という字は、中国語では「事」という漢字と同じ読み方で、「物事がうまくいく」という意味があるのだとか。とても縁起がいい言葉とされていて、同じ読みの「柿」も縁起がいいとされたようだ。

 一方、日本でも、語呂合わせで、かき→嘉来(かき)から「嘉=喜びが訪れる」という意味で、やはり縁起物に。また、風水でも、庭木として家が繁栄すると言われている。以前は一家に一本「柿の木」があって、実家の狭い庭にもあった。
 柿が熟すとともに、秋はしだいに深まり、季節は冬へ。

  すぐそこに祭りがきてる柿のいろ  山崎鮮紅