Vol. 207 ガム

「ガム」の歴史は西暦300年頃、中央アメリカで栄えた「マヤ文明」の時代に始まったとされている。マヤ文明には、サボティラという大木の樹液を煮込んで固めたモノを噛むという習慣があり、その樹液のかたまりを「チクル」といった。

チクルを噛むという習慣は、「マヤ文明」が滅亡後も、噛んだ時の心地良さと、クチの中をキレイにしてくれるということで、16世紀にこの地方を征服したスペイン人によって受け継がれた。そしてチクルをアメ玉の大きさに切って売り出すことで、ヨーロッパにも、この習慣が広まっていった。

その後、アメリカで、「チクル」に甘味料を加えて売り出したところ、爆発的な人気となった。このときに「チューイング・ゴム(ゴムを噛む)」という名前がつけられ、これが「チューイングガム」の始まりとされている。

日本には大正時代に入ってきたが、「ガムを噛む」という習慣が受け入れられなかったのか、一般化したのは、第二次大戦後で、歩きながら噛む進駐軍兵士により、ファッションとして流行した。
                    
 春泥の味をなくしたガムの色  伊藤聖子
              ゆに5月会員作品より