師の奇行 冬某日として記るし 泉 淳夫
手控えの短い文言。
句もまた寡黙にして、
師弟の重ねてきた歳月、某日、それ以後に思いが至り、
その重層構造に圧倒される。
木枯しの冷たさが、事態の不穏と重なる。
と同時に、師へのゆるぎない敬愛を
際立たせてもいるよう。
作者の泉淳夫(1908-1988)は
「ふあうすと川柳社」の同人、
また地元・福岡で「藍グループ」を創立、
主宰として活動。
文学性高い作風で知られ、今もファン多く、
本作は第2句集『風話』に収載されている。
塔に棲む女と月の夜毎会う
おとし穴 終日風が吹いている
馬が嘶き 花嫁が来て 火口が赫い
(句集『風話』 泉 淳夫/1972年)
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