今日の一句 #524

新春の稲穂しあわせいろきいろ   森山文基

新年早々、森山文基さんの第二句集『にいな』が上梓された。
本書は、第一句集『せつえい』以降の
2020年、2021年に詠まれた未公開句から153句を収載。
だから全作近作、といっていいようなホットさだ。


「新春に稲穂」とは、

たとえば稲穂のしめ飾りとか、地方の風習とか。
と思い描く絵に豊かな実りの景が広がってゆく。

続いて、しあわせいろ、きいろ、と
平仮名がふっくらやわらかに連なり
句はとてもシンプルな仕立て。

ゆえに沁み入る。
さても新年の願いとは、
ごくシンプルで、切なもの。
ことにこの緊迫の世にあっては。


森山さんは沖縄在住。
コロナ禍の医療現場で働き、
句集には、そんな氏の「いま、ここ」が伺えつつも
それとは別に、表現者としての

実験性に富んだ作品も興味深い新刊です。

 透き通る世界の端にさんぴん茶
 検索にかかった豆を踏み潰す
 再検通知碧の海の封筒で
 替え歌の方がしんみりする浜辺

 おとうさんにいなほんとはみどりだよ

(『にいな』森山文基句集
 /川柳本アーカイブ 2022年)

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