海市(かいし)とは、蜃気楼のこと。春によく現れるので、俳句では春の季語とされている。
蜃気楼は、下層大気の温度差などで空気の密度差があるとき、光の異常屈折により、見えないはずの物体が見える現象。蜃気楼では、海上や砂漠で見えるはずのない街並みや船が見える。海の上に浮かぶ街ということから、「海市」と呼ばれている。日本では富山の魚津海岸で見られるものが有名。
3月下旬~6月上旬までの、午前11時頃~午後16時頃が現れやすく、気温は18度以上のことが多い。特に朝が冷え込んだ日に日中の温度が上がれば好条件で、強い風が吹かない状態で発生する。
蜃気楼の「蜃」は、大ハマグリのこと。「気」は「息」、「楼」は高い建物のことで、古代中国では、大ハマグリが空中に吐いた息によって描かれた楼閣と考えられていたことから、このような現象を「蜃気楼」と呼ぶようになった。最も身近な蜃気楼として、「逃げ水」がある。
あいねくらいね海市からとろけだす 妹尾 凛