じゃんけんでたいがいのこと決まる家
高橋かづき
もう20年くらい前。
「駅前留学」のキャッチフレーズでブームを巻き起こした
某英会話スクールに通っていたことがある。
講師は全員ネイティブ。
とひと口にいっても
出身国はアメリカ、イギリス、オーストラリアなどさまざまで、
フリートークを楽しむグループレッスンは
まさに異文化交流の時間。
あるとき、アメリカ人の先生が
「私、子どもクラスも担当してるんだけど
日本の子どもたちには驚いた。
もめごとはすぐにジャンケンで解決するのね。
とってもフェアで平和的。So cool!」
英語にもジャンケンの表現はあるものの
「ジャンケンで決着」というルールは
日本ほど日常に定着していないとか。
へえ。と、それを聞いて、なんか嬉しかったのを
今日の一句で思い出した。
「たいがいのこと」とあるから
じゃんけんでは決められないこともあるのだろう。
みんなが納得するまで
とことん考え抜かねばならない案件、など。
でも、ほんと、たいがいのことは、
論破したり、力づくでなく、
じゃんけんで決めてしまって、何の不都合やある、
という気もしてきた。
本作は編集発行人・広瀬ちえみさんの
「What’s」第2号より。
(「What’s」vol.2 2022年4月)
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