万物をゆすりこどもが通過する 佐藤みさ子
こどもはなんで、ああいつも無駄に走って、ころげて、
泣いて、笑っているんだろう。
それでもまだ爆発的にあり余るエネルギーをもって物をゆする。
うわあ。
からの「通過する」。
いきなり下五で言葉のトーンが変わった。
それによって、奇妙な余韻が醸し出され、
いっそう本作を印象深いものにしている。
通過したあとも
こどもたちのエネルギーはそこここに満ちていて
取り残されているのに
なんだろう、この愉快な気分は。
(句集『呼びにゆく』 佐藤みさ子/あざみエージェント)
※「芳賀博子の川柳模様」で連載している「はがろぐ」を
今回から、こちらでもご覧いただけるようになりました。
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