探偵になりたい 髪を切ってみる
倉富洋子
前髪が目にかかる。
ちょきちょきと適当に切る。
案の定、切り過ぎた。
まるだし眉毛を苦笑い。
と、掲句をひょっこり思い出した。
「髪を切ってみる」
これはもう、前髪どころではないだろう。
ロングをバサッ、みたいな。
さて「探偵になりたい」理由はなに?
ただの思いつき。
それとも、気になるあの子をつけてみたい?
としても、たちまちバレそうで可笑しい。
出典は1995年発行の倉富洋子川柳集『薔薇』。
帯文には
「著者二十九歳から三十二歳までの第一作品集」とあり、
すでに代表作が数々収載されている。
慈悲無用蟻の骸は蟻が曳く
大志を抱け雲を真白き牙として
朝顔の蔓なめらかに欲情す
けれどこんな茶目っ気たっぷりが私のお気に入り。
わたしはアトムよ すっくり脚をむきだして
(倉富洋子川柳集『薔薇』 編集工房 円 1995)
過去ログはこちらから▶