今日の一句 #552

夕陽ポトン坂の途中の貯金箱
岩崎眞里子


黄金色の夕陽がポトン。
落ちゆく先は坂の途中の貯金箱。
今日も一日がんばった自分へのご褒美だ。
一日一日を、大事に生きて
こつこつ溜める夕陽貯金。
いつか、何かとってもいいことに使おう。


出典は、今年5月に青森県川柳連盟より発行された
「青森縣川柳年鑑ねぶた 2022年(第3集)」。
発行人は髙瀨霜石さん。
編集委員は、濱山哲也さん、熊谷冬鼓さん、守田啓子さん。
「川柳王国」青森発のアンソロジー第3弾には
昨年を上回る190名が参加し、
1人10句に加え、県内の大会記録や
さらに今回は「青森県川柳連盟 特別賞」受賞の
「北野岸柳」特集と、今年も読みごたえ満点。


 竹輪から命の音が聞こえない     伊藤良彦
 紋白蝶の軌跡どおりに雨が止む    菊池 京
 退屈は楽しまなくちゃ茄子のヘタ   熊谷冬鼓
 流木に腰を下ろしてまだ九月     笹田かなえ
 碁石置く友よ独りになったのか    滋野さち
 グリーン車に乗ると天国近くなる   髙瀨霜石
 ボランティア終わり乾電池に戻る   月波与生
 消毒液少し無明を消しながら     野沢省悟
 グループラインいまだにつづく縄電車 濱山哲也
 はらほろりん家族写真という記号   藤田めぐみ
 私のくぼみに蛍群れている      守田啓子


(『青森縣川柳年鑑ねぶた 2022年(第3集)』
  青森県川柳連盟 2022) 

    

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