サフランサフランこの家が売れたの
潤子
リズミカルに破調。
サフランサフランと、サフランが咲いた?
それとも、サフランライスが
香り豊かに炊きあがったところ?
とまれ思わず頬がゆるむのだけれど、
続くフレーズに、はっと。
家を売ることを決める、
そして売れる、に至るまでには
どんなケースでも、多かれ少なかれ
ひと筋縄ではいかない経緯があるだろう。
なんたって「家」だもの。
さて「この家」は主人公の住まいか、
空き家となった実家か。
句の前半が無邪気で軽やかな分、
後半のドラマ性が増す。
「売れたの」の「の」のニュアンスにも注目。
掲句、先ごろ発行された「川柳カモミール」第6号より引く。
発行人は青森在住の笹田かなえさん。
会員作品をはじめ、
ゲストとの吟行やネット句会の模様などが、
ホットに収載されています。
言葉飲み込むうみねこが集うとこ 守田啓子
淋しくはないが時計を見てしまう 川守田秋男
青空を少し掠めて旅に出る 細川 静
振り返る母のかかとのざらめ雪 滋野さち
カンゼオンボサツ白玉浮き上がる 笹田かなえ
(「川柳カモミール」第6号/カモミール句会 2022年9月)
過去ログはこちらから▶