今日の一句 #577

お出で下さい桜の花の咲く頃に
島村美津子


一句をふわりと受け取る。
たちまち春が待ち遠しい。


出典は掲句を表題作とした
島村美津子さんの絵手紙川柳集『桜の花の咲く頃に』。
初出は神戸新聞の川柳欄で、
当時の選者であった時実新子は、こんな風に評しています。

『単なる招きの手紙。ハガキと受け止めてもよい。
やさしい誘いに心が動く。けれど、これがもしも、
死に神へのいざないだとしたら‥‥。
ある種の覚悟を決めた女の死に仕度が整った。
叶うことなら花の季においで下さい、

と言ったのだとしたら?
戦慄が背を走る。

一筆の便りが宛先でこうも異なる川柳の面白さ。
死神に届く寸前にタックルして

作者を訪(と)おう。
「ミーツコさんあそびましょ!」』

島村美津子さんは「時実新子の川柳大学」創立会員。
神戸在住で、92歳の今もさまざまな川柳活動を展開され、
その意欲的な活動ぶりが、地元紙でもたびたび紹介されています。

さて、そんな島村美津子さんが呼びかけ人となって、
来たる3月26日(日)に
神戸で川柳大会が開催される運びとなりました。
タイトルも「桜の花の咲く頃に」第1回川柳大会。

選者は元「川柳大学」会員7名で、
私もその一人を務めさせていただきます。
どなたでも、ぜひどうぞ。

くわしくは こちら


(絵手紙川柳集『桜の花の咲く頃に』 島村美津子/私家版 2007)

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