生乾きのまま畳まれてゆくニュース
鈴木節子
畳まれてゆく、にアナログ感がある。
ああと吐息をつき、割り切れない、
いかんともしがたい思いで
新聞が畳まれてゆくような。
生乾きのままなのは
ニュースひとつひとつであり、
作者の心情でもあるのだろう。
そのウェットに生身の人間の存在が感じられる。
以下もこの3月1日に発行された
季刊「触光」最新号の作品。
黒い絵を棄てて球根買いにゆく 木本朱夏
物価高オーケストラが揃わない 船水 葉
蚤の市鏡の傷に立ち止まる 小野善江
鬼としてコメントをする立場では まつりぺきん
つくづくと塩の加減がわからない 野沢省悟
(「触光」77号 川柳触光舎 2023年3月)
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