巻貝の回り道した数の渦
徳道かづみ
樹の年輪が一年一年、歳月で増えていくように
巻貝の渦は、回り道した数で増えていく、
という見立てがユニーク。
たくさん回り道してきたゆえの美しい渦なんだと
自身に言い聞かせてもいるよう。
受容、開き直り、強がり、誇り‥‥
いろんなニュアンスを含んだ潮の香が
句からそこはかとなく漂い、沁みる。
ところで、日本とその周辺海域には
巻貝が7,000種以上も分布するそう。
世界となると一体何種にのぼるのだろう。
ネットの巻貝図鑑をながめていると
私もその一つになった気分。
確かにわが殻もぐるりぐるんと渦を巻き、
それも結構な歪であり、
そしてまだまだ、ぐるんの途中。
(句集『カメレオン』 徳道かづみ/港の人 2020)
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